天下の武器、モノの価値と認識 「天下3名槍編」
戦国時代は知ってのとおり、戦争が各地で多発した時代です。
人を殺めることが日常のように起こっていました。
そこには人間が扱う武器の存在が欠かせません。
刀、槍、弓、鉄砲など・・ジャンルは幅広く存在します。
実はそこに、武器の中でも特に高級品といわれるものがあります。
そのなかで、今回は「天下3名槍」とよばれる槍を紹介。
①蜻蛉切 (所有者 本多忠勝)
「徳川四天王」の一人。 戦国時代における最強武将の一人。生涯で57度の合戦に挑み、あげた戦功は数知れず、しかし自身が傷を負ったことは一度もなかったと言う。
トレードマークの「鹿角の兜」と、立てかけておいた蜻蛉切の刃先にとまろうとしたトンボがそのまま真っ二つになったという逸話があります。
刃の部分が約44センチ。
全長は当初は6メートルほどあったと言われているが、持ち主の忠勝の体力の衰えに合わせて90センチ程短く詰められたと言われている。
作者不明。
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元々は皇室所有物であったが、室町時代に15代将軍足利義昭に贈られ以降織田信長、豊臣秀吉、福島正則の手へと渡り、次に母里太兵衛が手にしています。
この槍で最も有名なエピソードが、福島正則の手から母里太兵衛の手に渡った時の話ですが、この時の逸話が『黒田節』と呼ばれる福岡県福岡市に伝わる民謡の中で歌われています。
この『黒田節』の中で『酒は呑め呑め、呑むならば、日本一(ひのもといち)のこの槍を、呑み取るほどに呑むならば、これぞ真の黒田武士』という歌詞で表しています。
黒田長政が福島正則のところに家臣の母里太兵衛を使いに出した。酒好きの福島正則は太兵衛に酒を勧めるが母里友信は使いの身であるとこれを拒否した。
酔っていた福島正則は大量の酒を飲み干せば何でも好きな褒美を取らせると宣言してしまいます。実は大の酒豪であった太兵衛はこの大量の酒を飲み干し、まんまとこの日本号を褒美として貰い受けたというお話です。
とても有名な逸話であり、NHKの大河ドラマ『軍師官兵衛』の中でもこの逸話のシーンが出てきますね。
現在は私の地元、福岡の福岡市博物館の寄贈されており、私も何度か見に行きました笑
③御手杵 (所有者 結城秀康)
全長は3.8メートル。刃の長さは138センチ。
戦争中起きた東京大空襲で焼失してしまい、3本の槍の中で唯一現在存在しない槍です。
鞘が手杵(中央が細く、両端が膨らんでいるような形)に似ていることから『御手杵』と呼ばれるようになったと言われている。
この手杵形の鞘を極端にした協調して作られたのが馬印用の鞘です。
御手杵の持ち主の結城家の象徴として作られ、馬印として参勤交代等では先頭にあったとされています。
熊毛で覆われ、高さ150センチ、直径45センチで重さは22.5キログラム。雨で水を吸ったりすると3キログラムにもなったとされている。
3本紹介しましたがこういった槍という「モノ」にも、人間と同様に価値がついていたのです。
現代でも特にお金という紙に価値を設け、生活を左右していることは言うまでもありません。
ならば、人間の価値とはなにか? モノとの価値の違いは何か?
みなさまもあらゆることに対して認識がおありだと思いますが・・
「槍」と聞いて、浮かぶイメージって何でしょうか?
人を殺める道具か、過去から伝わる伝統ある武器か、それを使いこなすヒトの心か。
様々ありますが、あらゆる認識も・・
「みんなちがって、みんないい」
のではないかと思います。
写真は3名槍のひとつ、「蜻蛉切」です。